KI-HOUSE について

KI-HOUSE は、南城市最東端に建つ海沿いの邸宅です。
敷地は、琉球王国最高の聖地である世界文化遺産の斎場御嶽と、琉球神話に登場する女神アマミキヨが降り立った地として伝えられている久高島という、2つの聖地を結ぶ軸線上に位置します。
建物は、2枚のコンクリートの壁を直交させて地面に差し込み、2枚のコンクリートの屋根を平行に浮かせたデザインとなっています。
コンクリートの屋根の下にあるスロープを降りていくと、室内にアクセスすることができます。
建物の西側には、柔らかい自然光が差し込む半地下のベッドルームがあります。
建物の中央にある個室には、洗面所とバスルームが集約されています。
建物の東側には、オーシャンビューのパノラマを望むガラス張りのリビングがあります。
室内からは、神の島・久高島を一望することができ、久高島の左側から昇る朝日を毎朝拝むことができます。
柔らかな光に包まれ、心地良い風を感じ、波の音に癒されるかけがえのない時間。
空間のシークエンスを通じて人と自然を統合し、奇跡のような日常を送ることができる建築です。

KI-HOUSE の詳細

竣工 2022年11月
所在地 沖縄県南城市
敷地面積 1,274㎡(386坪)
建築面積 115.83㎡(35.1坪)
延床面積 89.58㎡(27.1坪
階数・間取り 地上1階
主な素材 RC
公式サイト 窪田建築アトリエ:KI-HOUSE

KI-HOUSE のストーリー

背景

背景

2010年頃、建築家の窪田勝文は施主のT.K.様と一緒に、沖縄本島南部の海沿いをドライブしていました。
ある場所に差し掛かった瞬間、2人は激しい衝撃に見舞われました。
その高揚感に身震いしながら、思わず「こんな場所に住んでみたい」という言葉が漏れたのです。
この一言が、KI-HOUSE プロジェクトの出発点となりました。

土地探し

土地探し

当初、あの日に出会った土地の取得を目指していましたが、交渉は思うように進まず、計画は早々に頓挫しました。
しかし、この経験がT.K.様の家づくりへの情熱に火が灯り、その後数年にわたって土地探しを続けました。
ようやく希望に近い土地が見つかり、契約書にサインする日が目前に迫っていた矢先・・・。
新聞の広告欄で、あの日見た土地の眼下に、更にロケーションの良い土地が売りに出されていることを知りました。
T.K.様は迷うことなく土地の取得を即決し、まるで運命に導かれるかのように、プロジェクトは本格始動を迎えました。

設計・施工

設計・施工

建物の構造は、強い日差しや台風といった沖縄特有の自然環境に対応するため、RC造(鉄筋コンクリート造)を採用しました。
外装は、あえて粗い仕上げのコンクリートを用いることで、光と影、風と雨といった自然の移ろいを受け入れる肌合いとしました。
屋根の端部は斜めにカットし、柱より少し持ち上げて配置しました。
このような工夫によって、硬くて重いコンクリートという既成概念を打ち消し、重力から解放された軽やかさを感じさせる空間を実現しました。
内装の壁や床も、あえて無機質なコンクリートを用いることで、周囲の自然環境と一体化することを感じられる空間を目指しました。
機械設備は必要最小限に留め、生活空間ではその存在を極力感じさせないよう配慮しています。
照明器具は、直接見える形では配置せず、壁に埋め込んだ間接照明とすることで、光源を視界から排除し、自然の中で暮らしているように感じられる空間を創出しました。

KI-HOUSE オーナーの声

KI-HOUSE は、単なる住まいを超えた、深い哲学と安らぎを与えてくれる建築です。
施主のT.K.様に、理想の家を手に入れて得たもの、生活する上で感じている変化や幸福、窪田建築の真価とデザインに込められた思想についてお伺いしました。

自然と一体となる「春夏秋冬」「花鳥風月」の空間

自然と一体となる「春夏秋冬」「花鳥風月」の空間

KI-HOUSE の最大の特徴は、沖縄の豊かな自然を暮らしの中心に据えていることです。
この家での生活を振り返ると、春夏秋冬、花鳥風月を五感で味わえる建築空間でした。
大きな開口部と深い軒下が内部と外部をシームレスにつなぎ、屋内にいても屋外にいるような感覚を与えてくれます。
春には、庭の木々が新芽を芽吹き、室内に柔らかな光が運ばれてきます。
夏には、強い日差しやスコールを軒が遮りつつ、通り抜ける風が心地よい涼をもたらします。
秋には、空の高さや雲の流れが、室内からでもはっきりと感じることができます。
冬には、暖かい日差しが家全体を包み込み、穏やかな時間を演出してくれます。
夜になれば、窓の外に広がる星空や、虫の音に耳を傾けることができます。
窪田氏の建築は、日々移り変わる自然の美しさを、暮らしの中で余すことなく享受する機会を与えてくれました。

「宇宙の一部」としての存在

「宇宙の一部」としての存在

この家での暮らしを通じて、「人は宇宙の一部であり、自然や生物と同じ繋がりの中にある。」という感覚を強く抱くようになりました。
KI-HOUSE は、先端の尖ったコンクリートの壁と屋根、硬質なガラスといった素材で構成されていますが、そのデザインは人と自然の精神的な繋がりを追求した結果であると分かりました。
室内では、時間帯や天候によって変化する光と影が、空間に様々な表情を生み出します。
この変化を観察する中で、太陽の動きや地球の営みを意識するようになりました。
また、雨風の音、庭に集まる鳥や虫の気配を感じることで、自分たちは単独で存在しているのではなく、地球という大きな生態系の一部であることを実感しました。
この家は、私たち人間がいかに自然や宇宙と密接な関係にあるかを、静かに教えてくれる場所です。

意外な体感「安心感」

意外な体感「安心感」

KI-HOUSE の暮らしで、最も意外に感じたのは安心感でした。
この家は一見、開放的で外に開かれているように見えます。
しかし実際は、外部からの視線、沖縄特有の強い雨風や台風から、住む人をしっかりと守るようにデザインされています。
深い軒下は、強い日差しを遮るだけではなく、突然のスコールから家を守ります。
開口部の構造や配置は、強い風が通り抜ける力をいなすように計算されており、台風の時でも、驚くほど静かで安全な空間にいることができました。
これは、単に壁や窓で外界をシャットアウトするのではなく、自然の力を理解し共生する中で生み出された安心感です。
この「守られている感覚」は、精神的な安らぎにも繋がっています。
外の世界と繋がっていながら安全な場所にいるという感覚は、都市部の住宅ではなかなか得られない価値です。

KI-HOUSE の紹介動画

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